
ひとつのソープ誕生から。
今も変わらないものづくりの原点
「息子のアトピーを治したい」
母の情熱からはじまった30年
創業のきっかけは、社長・小松令以子の息子の重度アトピー。「アトピーは、肌のケアで防ぐ」という医師の言葉に希望を見出し、ひとつのソープを自ら開発。それが“肌育研究®”の原点になりました。
それから30年。小松自身の子育ても終わり、子どもたちはそれぞれの道へ。今では孫たちに囲まれながら日々、“一生ものの肌育研究®”に取り組んでいます。
「本当にこの方法でいいの?」
アトピーと向き合った母の疑問
今から35年前、アトピー性皮膚炎は「アレルギーの病気」と考えられていました。治療の中心は食事療法で、2週間同じ食材を使わない「回転食」と呼ばれる厳しい食事制限が勧められていた時代です。
小松もアレルギー科でその指導を受け、子どものために食事療法に取り組みました。しかし続けてみると制限はあまりに厳しく、栄養状態まで心配になるほどでした。
「本当にこの方法でいいのだろうか」
そんな疑問を抱えながら情報を探し続け、たどり着いたのが国立小児病院(現・国立成育医療研究センター)の皮膚科でした。そこで出会ったのが、皮膚科・部長の山本一哉先生です。診察室で山本一哉先生は、これまでとはまったく違う考え方を示しました。
「アトピーはアレルギーではなく、肌のバリア機能異常です」
さらに先生は、薬とスキンケアは車の前輪と後輪の関係だと説明しました。炎症が起きたときは薬で治療する。しかし、肌トラブルを防ぐためには日々のスキンケアが欠かせない。
アトピーは皮膚の病気。
食事はきちんととって、
肌の治療をしながら保湿を
しましょう。
その説明を聞いたとき、小松が抱き続けていた違和感は、すっとほどけていくようでした。実際に治療を続けると、子どもの肌は少しずつ改善していきます。そしてもうひとつ、大切なことを教えられました。
「お母さんの肌が荒れていると、そこにいる悪玉菌が子どもに付くこともある。親子で肌を良くしていくことが大切です」
子どもの肌だけではなく、親子で肌を整える。この考え方が、やがてナチュラルサイエンスのものづくりの原点になっていきます。
敏感な肌に
毎日使えるスキンケアがない
山本一哉先生の言葉どおり、薬とスキンケアは前輪と後輪の関係でした。しかし当時、アトピーの肌にも安心して使える洗浄料はほとんどありませんでした。むしろ「菌を殺すこと」が重視され、強い殺菌石けんが使われることも珍しくありませんでした。
「薬はあっても、日常のケアを支えるスキンケアアイテムがない」
そう気づいた小松は、製薬会社に勤める知人に相談します。その研究者は、床ずれケア用の洗浄料の研究開発に取り組んでいました。
研究者によると、「床ずれの皮膚はバリア機能が低下し、炎症や細菌の影響を受けやすいため、刺激を与えずに皮膚の状態を整えることが大切」ということでした。
話を聞くうちに、小松はある共通点に気づきます。床ずれの皮膚とアトピーの肌。どちらも、皮膚のバリア機能が低下しているという点で共通しているのではないか。
その後、研究者たちの協力を得て、試作がはじまりました。小松自身やアトピーの次男、周囲の協力者がモニターとなり、試作と検証を重ねます。
さらに山本一哉先生の協力のもと、医療機関でモニター試験も行われました。その結果、薬の治療と併用することで、肌状態の改善に役立つ可能性が確認されます。
こうして誕生したのが、ナチュラルサイエンスの原点となるソープ「ママ&キッズ 薬用コスミソープ」です。
「じゃあ、小松さんが売ればいい」
ナチュラルサイエンスの誕生
ソープは完成しました。しかし、研究者の所属する製薬会社は商品化を見送りました。当時は食事療法の時代。アトピー性皮膚炎のスキンケア市場は存在しないと判断されたのです。
それでも小松は、このソープをどうしても手放したくありませんでした。子どもと、自分の肌に必要だったからです。山本一哉先生に相談すると、思いがけない言葉が返ってきました。
「じゃあ、小松さんが売ればいい」
こうして小松はソープの権利を引き受け、会社をつくることになります。これが、ナチュラルサイエンスのはじまりでした。しかし最初につくったソープ 3,000個は、ほとんど売れませんでした。売れたのはわずか2個。
会社はマンションの一室。社員は小松一人でした。
それでも研究は続きます。山本一哉先生や研究者たちが協力してくれたからです。小松は彼らをこう呼びました。
「Bチーム」
それぞれ本業を持ちながら、志だけで集まった研究者たちです。このBチームの存在が、ナチュラルサイエンスの研究文化の原点になりました。
本当に欲しいものは
自分たちでつくるしかない
コスミソープが完成し、ナチュラルサイエンスはスタートしました。しかし小松の中には、すでに次の課題が見えていました。洗浄の次に必要なのは、保湿です。
肌のバリア機能を守るためには、汚れを落とすだけでは足りません。うるおいを補い、肌を守るケアが必要になります。
ところが当時の店頭では、小松が本当に使いたいと思える保湿製品を見つけることができませんでした。大人向けの化粧品は子どもには刺激になることがあり、子ども向けの商品は、成分や処方が十分とはいえないものが多かったのです。
「自分も子どもも、安心して使えるものがない」
そこで小松は、化粧品のOEM開発の仕事を引き受けながら、技術を学び直すことにしました。OEMとは、他社ブランドの製品を受託して開発・製造する仕事です。化粧品、香水、エステ製品など、さまざまな製品開発に携わりながら、原料や処方、製造技術について徹底的に学んでいきました。
この経験は、後にナチュラルサイエンスの研究開発の基盤になります。
研究者・佐藤 嘉純との出会い
そんな中で出会ったのが、研究者の佐藤嘉純です。佐藤は、薬剤師として化粧品原料の開発研究に携わる一方で、本人もまた、ひどいアトピーに悩んでいました。
そこで小松は、自分が取り組んでいる研究の構想を語りました。
「アトピーや敏感肌の親子が安心して、毎日使えるスキンケアをつくりたい」
その思いに共感し、佐藤は大手企業から転職。ママ&キッズの研究に参加することになりました。こうして誕生したのが、ナチュラルサイエンスの代表的な保湿製品「ママ&キッズ モイストオリゴミルク」です。
開発のテーマは明確でした。肌に必要な成分を中心に、敏感肌でも使える処方にすること。そして、刺激になる成分は入れないこと。ベタつかず、でも長時間うるおいを保てる乳液をつくることです。
しかしここで、新たな課題が生まれます。この製品をつくれる受託工場が、見つからなかったのです。防腐剤を極力減らす処方には、徹底した衛生管理が必要になります。そのためには専用の製造環境が必要でした。
小松はBチームの技術者たちに相談します。すると、元化粧品メーカーの工場長や技術者たちが顧問として、工場立ち上げに協力してくれることになりました。工場の設計、設備、薬機法の申請。すべてをゼロから学びながら、小さな自社工場を立ち上げることになります。
こうしてナチュラルサイエンスは、研究・開発・製造を自社で行う体制を整えていきました。この体制が、現在のものづくりの基盤となっています。
赤ちゃんの肌は、
生まれてすぐからのケアが大切
その頃、小松と山本一哉先生は、ある疑問を抱いていました。
「生後すぐからの赤ちゃんの肌は、乾燥していないのか」
当時の育児書には、「生後3か月までは保湿は不要」と書かれていたからです。しかし診療の現場では、生まれてまもない赤ちゃんにも肌トラブルが見られていました。
違和感を覚えた小松らは、産科や助産院に測定協力を依頼し、幾度も働きかけた末、ようやく新生児の肌状態を調査することができました。結果は、これまでの常識を覆すものでした。赤ちゃんの肌は、生後0日目からすでに乾燥がはじまっていたのです。
この発見を受けて、生後すぐからの保湿ケアを行う産科と山本一哉先生の協力のもと進められた研究は、佐藤により小児皮膚科学会で発表されました。そうして誕生したのが「ママ&キッズ ベビーライン」です。
その後も、妊娠中の肌に関する調査を重ね、マタニティラインを開発。赤ちゃん、子ども、そしてお母さんへと——家族全体の肌を支えるスキンケアは、ここから広がっていきました。
ナチュラルな暮らしを
サイエンスで支える
ナチュラルサイエンスという社名には、「ナチュラルな暮らしをサイエンスで支える」という思いが込められています。ここでいう「ナチュラル」とは、いわゆる自然派という意味ではありません。
「自分らしく前向きに過ごすこと」それが、小松の考えるナチュラルな暮らしです。
肌の状態は、心や生活にも大きく影響します。かゆみがあれば眠れなくなり、肌荒れがあれば鏡を見るのもつらくなる。小松は、ストレスのない暮らしが大切だと考えています。
また、「ナチュラル」という言葉は、イコール「オーガニック」でもないと、小松は言います。植物は人のために存在しているわけではなく、自らの身を守り、子孫を残すための刺激成分を持っているものもあり、天然のものすべてが肌にやさしいとは限らないからです。
自然の恵みを生かすためには、肌に不要なものを精製して取り除く必要があります。肌にとって本当に役立つ成分は何か、安全に使える状態になっているのか。それを確かめるのが、「サイエンス」の役割です。
こうした考えのもと、ナチュラルサイエンスでは、原料から開発製品に至るまでデータを取り、安全性と有用性の検証を重ねています。医療機関との研究、使用方法の検証、肌への影響の測定など。生まれたばかりの赤ちゃんから使える製品をつくる以上、その責任は大きいと考えているからです。それでも小松は、こう言います。
「今日のベストを、明日は超えていく」
製品を世に出すときは、その時点で最も良いものだと信じて送り出します。しかし研究が進めば、もっと良い方法が見つかるかもしれない。だからこそ、研究も開発も終わることはありません。
ナチュラルサイエンスが目指しているのは、肌を育てていくこと。その先にある、健やかで豊かな暮らしのお役に立つことです。
その原点は、今も、これからも変わることはありません。肌育研究®を通して、これからもみなさまの暮らしに寄り添い続けていきます。








