ナチュラルサイエンス 30th ANNIVERSARY 肌育研究30年

natural science
30の肌ものがたり

観察と試作を重ねてきた、研究者の30年

“もっといいものを”という
気持ちが、研究を続けさせる。

ナチュラルサイエンスの研究開発を、長年支えてきた佐藤嘉純。創業間もない頃から、試作と観察を繰り返しながら、敏感肌と向き合う研究を積み重ねてきました。30年という時間を経ても、「これでいい」とは思えない——だから今日も、次の試作に向かいます。本人の言葉でたどる、研究の現場と30年の軌跡です。

まるで7人のサムライ。
必要なことは、何でもやっていた

3まるで7人のサムライ。必要なことは、何でもやっていた

私がナチュラルサイエンスの仕事に本格的に関わるようになった頃、会社はまだ本当に小さく、私を含めて7名ほどの規模でした。「7人の侍みたいだな」と、冗談まじりに話していたのを覚えています。

今思えば、その小ささこそが、この会社の研究の
土台になっていたのだと思います。
誰かが決めたことをそのまま実行するのではなく、
目の前で起きていることをそれぞれが自分の言葉で考え、手を動かし、試して、また直す。そうしたやりとりが、ごく自然に行われていました。

職種の境目もはっきりしておらず、企画や開発に限らず、電話対応や発送の手伝いまで、必要なことはみんなで担っていました。少人数だからこそ、「見て、考えて、すぐ動く」ことが当たり前で、その感覚は今も研究の姿勢のどこかに残っているように感じます。

敏感肌と向き合う当事者として。
研究に引き寄せられた

敏感肌と向き合う当事者として。研究に引き寄せられた

実は、私自身も、肌が強いほうではありませんでした。大人になってからアトピー性皮膚炎を発症し、仕事が手につかないほどつらい時期を経験しています。治療法をいくつも試しましたが、思うように改善せず、途方に暮れていました。

当時は、ワセリンのような油分を「保湿だ」と信じて使い続けていましたが、肌の状態はなかなか変わりませんでした。
今振り返ると、その頃の試行錯誤が、肌に向き合うことの難しさを実感する時間だったのだと思います。

だからこそ、代表の小松が家族の肌と向き合ってきた経験を原点として、この会社が生まれたという話に、自然と共鳴するものがありました。
敏感な肌と向き合うという仕事に、自分自身の体験も重なり、気づけば引き寄せられていた――
そんな感覚に近いかもしれません。

医師の視点が研究の軸に

医師の視点が研究の軸に

そんな私にとって、研究の姿勢を定めるひとつの転機となったのが、国立こども病院(現:成育医療研究センター)の皮膚科医、皮膚科部長の山本一哉先生との出会いです。

先生は創業当時から開発に関わってくださっており、仕事を通して知り合いましたが、私自身、患者として診ていただく機会もありました。山本先生の診療で印象的だったのは、アトピーを「皮膚の病気」として、極めて冷静に捉えていたことです。

食事や生活習慣を過度に結びつけることなく、「きちんと食事を摂ったうえで、保湿を中心としたスキンケアを続けることが大切だ」という考えを、終始一貫して示されていました。

迷いや不安がある中でも、判断の軸がはっきりしている。その明確さが、研究や開発に向き合ううえでの、ひとつの指針になっていったように思います。

やるべきことは山ほど。
それでも仕事がおもしろい

やるべきことは山ほど。それでも仕事がおもしろい

山本先生の診療を受けるなかで、肌の状態は少しずつ落ち着いていきました。同時に、もう一つ大きかったのが、働く環境の変化です。前職では、アトピーのつらさもあり、仕事に向き合う余裕を失っていました。

けれどもナチュラルサイエンスに来てからは、自分が担う役割がはっきりとあり、やるべきことが次々と見えてきました。工場での検討が続き、気づけば夜10時を回っていることもありましたし、土日に会社へ顔を出すこともありました。

それでも、その忙しさが不思議と苦になることはありませんでした。真面目だからというより、単純に仕事がおもしろかったのだと思います。責任があり、周囲からも求められている。それがモチベーションになって、自然とやりたい気持ちが湧いていました。

結果として、仕事に関するストレスが減っていったことも、肌の状態に良い影響を与えていたのかもしれません。

試作は何十回でも。
観察から始まる研究

試作は何十回でも。観察から始まる研究

私は、1996年の「ママ&キッズ モイストオリゴミルク」から開発に関わってきましたが、試作は一度や二度で終わることはありません。どの製品でも、自分たちで手を動かしながら、何十回も繰り返します。

試作は何十回でも。観察から始まる研究

研究で大切にしているのは、机上の理屈よりも、まず「観察」を積み上げることです。

温度や湿度、原料の状態、攪拌のわずかな違い。仕上がりの感触や、肌に触れたときの引っかかり。
そうした小さな違和感を、できるだけ見逃さないようにしています。

日常生活でも、肌の調子や化粧品の感触が、つい気になって。季節の変わり目になると、手の甲や頬のざらつき、かゆみの出方を、無意識に確かめてしまう。

研究も同じで、数値だけでは見えない「違い」を拾うには、観察を習慣にするしかありません。
派手な「画期的」を一足飛びに生み出すことはできません。

「もう少し、もうちょっと」と調整を重ねる。その積み重ねが、結果的に、肌にとって本当に必要なものを形にしていくのだと思っています。

「もっといいものを」
研究が続いていく理由

「もっといいものを」研究が続いていく理由

私は、お客さまと直接お会いする機会が多い立場ではありません。だからこそ、ハガキやコメントに書かれている言葉は、研究側にいる私にとって、大切な接点です。

「肌が楽になった」「続けられた」。そうした言葉に触れると、胸の奥がふっと緩むような感覚があり。誰かの生活の中で役に立っていると知ると、次の試作に向かう力が戻ってきます。

研究者にとって製品は、子どものような存在だと感じることがあります。「どのアイテムがお気に入りですか?」と聞かれることもありますが、私はいつも答えません。すべてが、同じように手をかけてきたものだからです。

新商品が世に出た瞬間、研究者にとってそれは、ある意味で“過去”になります。意識はすでに、「次はどうするか」に向かっている。それは欲張りというより、より良くしたい、という自然な気持ちなのだと思います。

30年目の現在地。
そして、次の30年へ

「もっといいものを」研究が続いていく理由

30周年という節目を意識すると、私の中では、反省の気持ちが先に立ちます。「もっといい商品をつくれたのではないか」「会社も、まだ良くできたのではないか」──そんな思いが、どうしても浮かんできます。

だから、現状に満足しているわけではありません。
それでも、これまで積み重ねてきた時間が、お客さまの日常の中で、役に立っているのなら。
そのために、これからも手を動かしていたい。
今の私の気持ちは、それだけです。

肌の「困りごと」を、生活の現場のリアルとして受け止めること。低刺激であること、科学的根拠にもとづいて誠実につくること。

そして、なぜそれが必要なのかを、きちんと伝えること。この基本姿勢を大切にしながら、これからも、研究を続けていくつもりです。

「佐藤 嘉純(さとう・よしずみ)

研究開発 責任者
薬剤師
佐藤 嘉純(さとう・よしずみ)

1996年よりナチュラルサイエンスの研究開発に携わる。敏感肌・アトピー性皮膚炎の当事者としての視点と、医師とともに積み重ねてきた研究経験をもとに、製品開発をリードしている。